ADHDとは?
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、脳の発達に影響を及ぼす医学的状態であり、注意を払うこと、じっと座っていること、衝動行動を制御することに困難を感じることがあります。
ADHDは子供時代に診断される発達障害の一つですが、大人になってから社会生活に生き辛さを感じ、診断されるケースが非常に多くなってきております。
不注意の症状
ADHDの不注意の症状には以下のようなものがあります。
- 作業や家事に集中するのが難しい
- 長時間精神的努力を必要とするタスクを避ける
- 物忘れが多い
- 物をよく無くす
- 細部への注意力が欠ける
- 周囲に気が散って集中できない
- 時間管理が苦手
衝動性の症状
ADHDの人が示す衝動性の症状には以下のようなものがあります。
- 落ち着きがなくじっと座っていられない
- 他人を疲れさせるほど活動的である
- 話す量が多い
- 会話の順番を待たず話に割り込む
- 質問が終わる前に答えを言う
- 他人の会話にいきなり割り込む
大人のADHDの診断基準
ADHDは、一次ケア医、セラピスト、精神科医などの資格を持つ医療提供者によって診断されます。
アメリカ精神医学会が発行する診断および統計マニュアル(DSM-5)の診断基準を満たすことで診断がされます。
17歳以上の人の場合、6か月以上にわたり少なくとも5つの不注意の症状と5つの過活動・衝動性の症状を持つこと、12歳前からこれらの症状があること、家庭や学校、友人や家族との関係、その他の活動など、2つ以上の異なる設定で症状が現れることなどが診断基準となります。
ADHDの種類
症状に基づいて、ADHDは3つのタイプに分類されます。
- 結合型ADHD:不注意と過活動・衝動性の両方の症状が6か月以上
- 不注意型ADHD:不注意の症状が多いが、過活動・衝動性の症状はそれほど多くない
- 過活動・衝動性型ADHD:過活動・衝動性の症状が多いが、不注意の症状はそれほど多くない
子供と大人のADHDの違い
大人のADHDの症状は子供とは異なる形で現れることがあります。ADHDは成人期に発症するものではなく、子供時代に始まる発達障害です。
しかし、症状は成人期にも続くことがあります。そのため、診断基準では、12歳前から大部分の症状があったことが求められます。
ADHDの合併症
ADHDの人は、以下のような他の精神健康状態を持つこともあります。
- うつ病
- 不安障害
- 睡眠障害
- 双極性障害
- 人格障害
- 強迫性障害(OCD)
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- てんかん
- トゥレット症候群
- 学習障害(LD)
まとめ
大人のADHDは、仕事や社会生活での生活を困難にすることがあります。ADHDの症状を特定し、治療を求めることで生活の質を改善することが可能です。
ADHDは子供に関連するものと考えられがちですが、大人にも影響を及ぼすことが認識されつつあります。大人になってからADHDの症状が目立つようになっても、的確に対処することで生き辛さを改善することが可能です。まずは困っていることに対して、医師に相談してみるのがよいでしょう。