かつて「ボディ・ポジティブ」は、自分の体と良好な関係を築くための理想的なアプローチとされていました。しかし、近年では「ボディ・ニュートラリティ」という新しい概念が注目されています。ボディ・ポジティブは「自分の体を愛する」ことを重視していますが、これがすべての人にとって容易ではなく、特に体型や体に関してマイノリティの立場にある人々にとっては難しいことがあるためです。
そこで本記事では、ボディ・ニュートラリティとは何か、その実践方法について具体的に解説していきます。
ボディ・ニュートラリティとは？
ボディ・ニュートラリティは、「自分の体をそのまま受け入れる」という考え方です。これは、自分の体の外見や美しさにフォーカスするのではなく、体が果たしている機能やその存在そのものに感謝し、外見にとらわれずに生きることを目指します。体の見た目を評価するのではなく、現在の状態をありのまま受け入れ、体に対する過剰な期待や執着を持たないことが大切です。
ボディ・ニュートラリティの特長
- 体の機能に感謝する
体がどのように見えるかではなく、体が何をできるかに焦点を当てる。 - 外見にとらわれない
美しさの基準に縛られることなく、体そのものを大切にする。 - マイノリティの体に対する共感
外見に重きを置かないため、様々な体型や個性を持つ人に受け入れやすい。
一方、ボディ・ポジティブは外見を愛することを推奨していますが、全ての人がその基準に当てはまるわけではないため、現実的でない場合があります。
ボディ・ニュートラリティの実践方法
では、ボディ・ニュートラリティを日常生活でどのように取り入れることができるのでしょうか。ここでは、実践のための具体的な方法を紹介します。
1. 自己対話を改善する
自分の体に対して中立的な感情を持つことは、最初は不自然に感じるかもしれませんが、自己対話を改善することがスタート地点です。日々の生活の中で以下のようなステップを取り入れてみましょう。
- 体の機能に感謝する
例：「腕は強い」「脚で長時間歩ける」など、体ができることに感謝する言葉を自分にかけましょう。 - 不調を受け入れる
例：「膝が曲がりにくい」「座るのが不快だ」といった事実を冷静に認め、過剰に感情を抱かないようにしましょう。 - 自己愛を強制しない
自己愛の活動は、無理に行う必要はありません。自分が自然に心地よいと感じる時にのみ取り入れるようにしましょう。
2. 他者との会話での配慮
身体に関する会話は、多くの人にとって敏感な問題です。ボディ・ニュートラリティを実践する上では、他者との会話でもこの点を意識することが大切です。
- 他者の身体にコメントしない
たとえ無意識でも、他者の外見や体型についてのコメントは避けましょう。 - 会話の方向性を変える
体に関する話題が出た際は、「体について話すことは、相手にとって不快な場合があります」と説明し、別の話題に移行するよう心がけましょう。
3. 食事と体の関係
食事においてもボディ・ニュートラリティを実践することが可能です。自分の体に合った食べ物を選び、食事の時間を楽しむことが基本です。
- 体が求める食事を選ぶ
自分の体がよく消化でき、エネルギーを与えてくれる食事を選びましょう。味わいや食感を楽しむことも重要です。 - 直感的な食事法を取り入れる
食べ物に対する直感を頼りにし、体のサインに従って食事を選ぶことで、体との関係を健全に保つことができます。
4. 衣服の選び方
ボディ・ニュートラリティの考え方を基に、着心地の良い服を選ぶことも大切です。他者の意見に左右されず、自分が心地よく感じる服装を選びましょう。
- 外見に過度に執着しない
服を選ぶ際、自分が快適に感じ、身につけて楽しいと思えるものを選びましょう。自分が心地よくいられることが何よりも大切です。
5. 運動の取り入れ方
運動は体にとって有益ですが、体型を変えるためや脂肪を燃焼させるために運動を行うのではなく、体を動かす喜びや健康を目的にしましょう。
- 楽しめる運動を選ぶ
ジムでのトレーニングが合わない場合は、散歩やヨガ、ダンスなど、自分が楽しめる活動を取り入れましょう。
6. ソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアは他者とつながるための有効なツールですが、他人の「理想的な生活」を目にすることで自己評価を下げることもあります。ボディ・ニュートラリティの考え方を取り入れ、ソーシャルメディアの使用にも配慮しましょう。
- 不快な投稿を制限する
自分に不快感を与える投稿をしているアカウントをミュートするなど、自分にとって心地よい空間を保ちましょう。
まとめ
ボディ・ニュートラリティは、体に対する健全で現実的なアプローチを提供します。外見に対する執着を減らし、体をありのままに受け入れることで、日常生活をより充実させることができるでしょう。上記の方法を参考にしながら、自分の体と向き合う新しい視点を持ってみてください。
