うつ病とDSM-5：新しい診断基準について解説

DSM-5とは何か

DSM-5は、アメリカ精神医学会が2013年にリリースした最新版の診断マニュアルです。それまで使用されていたDSM-IVから一部の診断基準が変更され、うつ病を含むいくつかの疾患が追加、修正、または削除されました。

DSM-5がもたらしたこれらの変更が、医療提供者と患者にどのような意味を持つのかを理解するために、まずはうつ病がどのように診断されるのか、その概要を見ていきましょう。

DSM-5のリリースは、精神医学の世界に大きな変化をもたらしました。新たな診断基準が導入され、一部の疾患が削除され、また新たな疾患が追加されました。

これらの変更は、精神疾患の診断と治療に新たな視点を提供し、医療提供者と患者の間のコミュニケーションを改善することを目指しています。

うつ病は一般的な精神疾患で、米国の成人の約5人に1人が一生のうちにうつ病の診断を受けると言われています。自分がうつ病の症状を経験しているかもしれないと心配な場合、医療または精神保健専門家に連絡することが重要です。

しかし、自己チェックのツールを利用することで、自分の症状を評価し、それを医師やセラピストに伝えるための情報を整理することができます。

インターネット上には多くの自己チェックツールが存在しますが、そのすべてが信頼できる情報源から来ているわけではありません。自己診断は難しく、自己チェックツールはあくまで医師やセラピストとの会話を始めるための一助となるものです。

医療専門家は、うつ病の診断にあたり、確立された研究に基づくガイドライン、スクリーニングツール、チェックリストなどを使用します。

これらのツールは、うつ病の症状を経験している可能性のある人を観察し、話を聞くためのガイドとなります。

医療専門家は、患者の日常生活や感情について直接質問することで、その人のうつ病の症状の原因について貴重な洞察を得ることができます。

場合によっては、うつ病の症状を持つ人が必ずしも大うつ病性障害を持っているわけではないこともあります。

DSM-5は、うつ病の新しい診断テストを導入していませんが、精神保健障害を診断するための新しい「統合」アプローチを推進しています。

この新しいアプローチは、以前の評価ツールと互換性があり、うつ病の診断方法を完全に変える必要はありません。

DSM-5には、自殺リスクを評価するための新しいスケールが含まれています。これらのスケールは、治療計画を作成する際に、医療提供者が患者の自殺リスクを特定するのに役立つように意図されています。

大うつ病性障害の診断を受けるためには、DSM-5で概説されている基準に合致する必要があります。これらの基準は、患者の症状がその人の以前の機能レベルからの変化を示し、少なくとも2週間続いていることを必要とします。

DSM-5で公表された変更には、新たなうつ病のムード障害と指定子の追加が含まれています。

DSM-5の主な変更点の一つは、2つの新たなうつ病の障害、つまり、気分変動性障害（DMDD）と月経前不快症（PMDD）の追加です。

うつ病の診断は、多段階のプロセスであり、自分が以前とは違う感じがすることに気づいたときに始まることが多いです。友人や家族がうつ病の微妙な兆候に気づき、治療を求めるように勧めることもあります。